チケットなしで挑んだデリーまでの18時間②

チケットなしで挑んだデリーまでの18時間②
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yukinko

インド在住の旅ブロガー/ライター。 世界一周ひとり旅を含めこれまで訪れた国は70か国、350都市以上。2016年よりインドへ移住。このブログはインド生活や日々感じたことを思うままに書き綴っている日記ブログです(≧∀≦)

【2017/03/11】

ゆきんこ@Jaisalmer→Delhi

 

♪〜♪〜♪〜♪

念のためかけていたアラームが鳴る。

私たちが席を失う問題のジョードプルという街には22:40着予定だったけど、まだまだ着きそうもない。現在地を確認すると1時間ぐらい遅れているっぽかった。

 

完全に消灯時間なのにこれからシートがなくなる私たちは寝ることができない。

 

みんなOK?ここの隣側の席の●番〜●番、そこの通路の上の段の●番の人はジャイプルで降りるからね。確実に席を確保して寝よう!

 

ジョードプルに着く前に最終確認した。

 

ジャイプル到着は早朝。5時の予定だったけどおそらく6時ぐらいになるだろう。いずれにしても6時間耐えなきゃいけないのは変わらない。

 

ジャイプルまで6時間…

 

普通にシートがあって寝れるなら一瞬の出来事なのに、シートがない、寝れない、居場所がないってなると容易に想像がつく。

 

絶対長いヽ( ̄д ̄;)ノ

 

嫌でも時間は過ぎるわけで、やがてリミットのジョードプルに着いてしまった。ホームに入っていく列車。ガヤガヤガヤガヤ、チャイを売る人、売店に群がる人、たくさんの荷物を持って列車の到着を待っていた人が車窓から見える。

 

みんな…ジョードプル着いたよ…

 

荷物を持って避難体勢。まあでもそこのシートの人が乗ってきたら避けるか、ぐらいのテンションで。

 

あり得ない、絶対にあり得ないけど、なんだったらここのシートの人乗ってこなければいいなーなんて。あり得ないけど。そんなことあるわけないけど。

 

祈るのは自由だから。

 

 

 

 

 

あれ、乗ってこなくない??

 

いや、まだわかんないよ。ここ停車時間30分あるからもう少ししたら乗って来るかもだし…

 

 

 

 

これまさかの誰も乗って来ないとかあるんじゃない??

 

わき上がるそんな感情を必死に殺す数分を過ごしたあと、ついにその時がやってきた。

 

ゆっくりと動き出す列車。

 

え?列車動いてない!?

まさかの??

 

いやいや、まだわかんないよ。飛び乗るタイプの人もいるからね。

 

とか言いつつ、心の中は半ばガッツポーズ。

 

まさかのここのシートの人1人も乗ってこないパターン!!信じらんない!!こんなことってある!?

 

神様ーありがとう!!そうだよね!!お金ちゃんと払ったしね!!チケット会社のテキトーな99パーセントを信じた素直な私たちに神様が味方してくれたんだー♡

 

列車の速度がある程度になってホームを離れた瞬間、

 

よし!!就寝!!

 

そう言って全員もといたシートを陣取る。

 

こんなことってある!?超ラッキーじゃない!?最高ー♪

 

完全に寝る体勢に入ろうと思った時気がついた。

 

あれ…列車逆走してない…??

 

え…ジョードプルの駅戻る感じ…??

 

え!?嘘でしょ!?なんで戻る!?

ムリムリムリムリ!!!!!

 

戻ったホームにはたくさんの人がいた。さっきの到着がなんだったかわかんない。でもとにかく列車の到着を今か今かと待っていた人がいっぱいだった。

 

そして列車が停車した瞬間その人たちがたくさんの荷物を抱えて雪崩のように乗り込んできた。あっという間の出来事。私たちは勝手に座っていたシートから1歩も動けなくなってしまった。どう考えてもシート数以上の人が乗り込んできている。席も通路も人で溢れかえる。

 

え?まさかの全員キャンセル!?奇跡…!?

 

なんてあるはずがない。一瞬でも浮かれたわたしはホントバカか。

 

チケットを見ながら●番…●番…って言いながらやって来る人とばちっと目が合う。

 

ん?ここオレの席じゃない??

 

って顔してるーーーーー!!!!!

 

そりゃそうだ。だってその人の席だもんヽ( ̄д ̄;)ノ

 

あなたのシートナンバーは??

 

ついに聞かれてしまった。痛いところつくー。

 

ま、普通の質問か。

 

ないです…。

 

はい、ソッコー消えます。本当に申し訳ありません(ToT)

 

満員列車のようにぎゅうぎゅうの車内で行き場を失うわたしたち。スリーパークラスと言えども全席指定席だから本来ならぎゅうぎゅうになるはずもない。でもどういうわけかぎゅうぎゅうだった。

 

私たちの仲間がたくさんいるってことだ。

 

たくましいタビイクメンバーの男の子たちはぎゅうぎゅうの通路で自分の場所を確保して床に座り込む。

IMG_3006

手前、なわちゃん。奥ゆーさく。そのもっと奥ではゲンがマットを敷いて寝ている(ハズ)

 

私は床に座れなかった。床に座ろうって腹をくくったつもりだったけど、やっぱり座れなかった。荷物を抱えてその場に立ち尽くした。

 

どうしよう…

 

通路、車両と車両の間のドア付近も人で溢れている。私は完全に行き場を失っていた。ここで6時間…考えただけで気が遠くなった。

 

どうしよう…

 

その時、腕をトントンとしてくる人が。

 

同じく行き場がないけど、寝ている人の横の隙間に座るインド人のおじさんだった。

 

ここに座ったらいいよ、そう言って指を指した先にはインド人の女性が眠っていた。その人の足元に空いているスペースに座りなさいって。

 

え…いいの…?ありがとう…

 

助かったと思った。

 

ちょっとしたスペースでも構わない。6時間立ちっぱと6時間座りっぱとでは天と地ほどの違いがある。

 

なるべくその女性の邪魔にならないように足元にお尻3分の1ぐらい腰掛ける。すると寝ていた女性がえ?っていう感じで一瞬首を少しだけあげて足元を確認した。

 

わたしはおじさんが自分の身内のシートに座っていいよって言ってくれたと思ったけど、その動作で寝ている女性とおじさんがまったくの他人だということを察した。

 

怒られる…!!

 

やばいと思ったけど女性はそのまままた眠りについた。

 

わたしは容認されたのだ。

 

助かった…

 

よく見ると入口すぐのそのシートにはチケットがない人がたくさんいるようだった。1シートに2人寝ていたり、1番下の段のシートの人の隙間にはぎっしりと人が座っている。すぐ近くにいたえらぶもここ座りなさいってシートで寝ていた人が声をかけてくれて座ることができた。

 

みんな肩を寄せ合って、少しでもスペースがあったら誰かが座れるように、シートに寝ている人が嫌な顔ひとつせず席のない人に席を譲っているその光景はまさにインドそのものだった。

 

美しきインド愛。

 

インド人は底抜けに優しい。

 

わたしのものはあなたのもの、あなたのものはわたしのもの、”シェア文化”だ。たまたま列車で乗り合わせた人が持ってきた食事を見ず知らずの周りの人に振る舞おうとしたり、ちょっといいよねなんて言って知らん人のシートに座ったり荷物を置いたり、インド人のインド人らしさをずっと見てきた。

 

それが微笑ましかったり、その一方で正直図々しいなって思う気持ちもあった。

 

自分のシートに普通に寝ていてふと足元を見たら知らん人が座っていた時とか、は?誰?なんでわたしのシートに座ってんの?勘弁してよーって思った。シートに座っている人数を数えて多かったら、誰かチケット持ってないじゃん、なんでこの車両乗ってくるの?しかもちゃっかりシート座ってんの?狭くなるじゃんって思った。シートとシートの間に新聞紙を敷いて寝てる人がいたらうんざりした。

 

わたし、サイテーだ。

心の狭い自分を深く深く反省し、インド人の底抜けの優しさに心から感謝した。

 

チケットを持っていない私たちがここにいるのを許され、なんだったら人様のシートに腰掛けさせてもらえるなんてここがインドだからだ。

 

もちろん全員のインド人がというわけじゃない。ここ座らないでって言ってるインド人もいた。でも多くの人が助け合っていた。会ったこともないたまたま乗り合わせただけの人たちが肩を寄せ合って少しでもスペースを開けて多くの人が座れるようにしていた。

 

わたしはここ座りなよって言ってくれたおじさんが持ってきていたマットレスをもう1人知らんおじさんと3人でシェアさせてもらった。寝るわけじゃない。ぐるぐるまいたマットレスを立てて、腕を置いて突っ伏して寝る体勢を取る。お尻を3分の1しか置いていないし背もたれがないからバランスが悪いけど、そうすることでかなり寝やすくなった。

 

普段だったら、おっさん近いんだって!!って思うくせに、わたしどれだけ心狭い人間よって思った。自分の身勝手さと心の狭さを恥じた。

 

寒くて、お尻が痛くなって、腕が痛くなって、体勢がキツくて、何度も目を覚ました。みんな狭いスペースで足の置き場を変えたり、それさえも譲り合って助け合った。ジャイプルまでの6時間を乗り越えられたのはまわりの人が助けてくれたからだ。

 

早朝、ジャイプルに到着。

 

一気に人が降りていく。その瞬間わたしも目星を付けていたシートにすかさず荷物を置いて陣取る。そしてやっと足を伸ばして就寝。どうやらみんなも速やかに席を確保したようだ。

 

シートに横になってこの6時間の出来事のことを思った。

 

もしこの列車でわたしが人が溢れる入口付近のシートに寝ていたとしたらどうだろう。わたしはきっと、なんでこんなに乗ってくるの!?チケットない人じゃん?てゆーか足元座ってこないでよー!って思っただろう。足元に座られても黙認するだろうけど、ここ座っていいよって自分から声をかけるなんてことはしない。

 

わたし小っさ。

 

予定通り昼ぐらいに無事デリーに到着した。なんとか乗り切った。

 

しんどい移動だった。チケットを持っていない、列車の中に堂々といられる場所がないって言うのはなかなかの気まずさだった。でもいい経験をさせてもらった。

 

インド人の底抜けの優しさに感動した。今まで以上にリアルにそれを感じることができた。そしてわたしは今後明らかにお前チケットないだろ?っていう人が乗ってきたとしても、ちゃっかり座ってきたとしても、新聞紙敷いて寝始めたとしても、その人たちを白い目で見ることはない。足元に人を座らせるぐらいどうってことない。なにも害なんてない。

 

今回は傲慢なわたしに神様が反省の機会をくれたんだと思う。

 

昨日よりも優しい自分になれた、きっと。

 

インド人すげぇー。

 

いろんな意味で尊敬する笑

 

わたしはインド人がいるインドが大好きです。

 
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今日もありがとうございました( ´ ▽ ` )ノ

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